父・河崎利明 遺稿集
螺旋階段
父・河崎利明 遺稿集「はとからすやまとりのこみ」より
女房が娘を連れ泊りがけで田舎の家に行った。待望の一人暮しの三日間、冷房をつけカーテンをしめアダムと同じ姿で過した。一番始めに感じたのは歩く時男性自身が邪魔になることだった。ブリーフは単なる羞恥心のためばかりでなく実用性のためでもあることが判った。
ゆっくり歩くと男性自身もゆっくり前後運動をする。速く歩くと速い前後運動になる。
その内、或重大なる発見をした。階段を上がったり下りたりすると前後運動が左右運動に変るといふことだ。
女房が帰って来たので早速報告した。彼女曰く「うちが螺旋階段だったら円運動ね」。
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父・河崎利明 遺稿集「はとからすやまとりのこみ」
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